JS19-3:インドネシアの熱帯林における外生菌根菌の多様性と群集構造
1東京大学, 2東京農業大学, 3インドネシア科学院生物研究センター, 4インドネシア森林研究開発機構, 5ボゴール農科大学
森林の優占樹木の細根には外生菌根菌が普遍的に共生している。宿主樹木は養分吸収の大部分を外生菌根菌に依存しているため、適合する外生菌根菌いない環境では樹木は正常に成長することができない。これまで温帯域の森林において外生菌根菌の群集に関する研究は数多く行われているものの、熱帯域での研究は少なく、十分な知見が得られていない。本研究では、インドネシアの主要な森林における外生菌根菌の群集構造と多様性に関する基礎的知見を集積することを目的とする。対象とした森林は、スマトラ島のスマトラマツ(絶滅危惧種に指定されるが東南アジア全域に広大な造林が行われている有用樹種)自然林、カリマンタン島のフタバガキ(東南アジアの森林で最も優占し、林業上も重要な樹木)自然林、バンカ島のTristaniopsis(フトモモ科の有用樹種)自然林である。現地で土壌サンプルを採集し、そこに含まれる外生菌根をDNA解析(ITS領域のシーケンス)することによって菌種を同定した。また、土壌中に含まれる埋土胞子についても、対象樹木の実生を用いたバイオアッセイによって釣り上げ試験を行い、その菌根を上記のDNA解析によって菌種を同定した。得られたデータをもとに、それぞれの森林での外生菌根菌の多様性や群集構造の特徴を明らかにした。また、得られたデータを統合して多変量解析を行い、インドネシアの菌根菌群集に及ぼす樹種や地理的距離の及ぼす影響を評価した。微生物資源として有望な外生菌根菌については単離を行い、InaCCへの登録を行っており、その状況についても報告する。
keywords:熱帯林,外生菌根菌,共生,樹木
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