S31-01 : 土壌の健全性評価:米国のイチゴ有機栽培の現場から

村本 穣司 カリフォルニア大学サンタクルーズ校環境学科 米国カリフォルニア州サンタクルーズ郡は、有機農地率が20%を超える有機イチゴ・野菜栽培の先進地であるが、一部のイチゴ圃場で輪作にも拘わらず土壌病害が発生している。一方、当地の慣行イチゴ栽培では、くん蒸剤への規制強化を背景に、土壌くん蒸に依存しない生産技術が模索されており、土壌の健全性(Soil health)が強調されている。本報では、著者らのカリフォルニアの有機および慣行イチゴ栽培における土壌還元殺菌法の最適化に関する研究(2003-)と、米国における土壌の健全性に関連した動向について話題提供し、今後の土壌
Posted On 20 10月 2014
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S31-02 : 土壌eDNA診断技術の現状と展望

對馬 誠也 農業環境技術研究所 高品質な作物生産を行う上で、安定した地力の確保、連作障害等の病害の克服が重要であり、それを実現するためには、土壌の物理性、化学性、生物性を適切に把握する必要があるが、培養できない微生物が圧倒的に多い土壌の生物性解明とその活用技術の開発を推進するためには、誰もが解析可能な土壌DNA解析手法が必要であった。そこで、この課題の克服を目指して、2006年農林水産省委託プロジェクト「土壌微生物相の解明による土壌生物性の解析技術の開発」(通称、eDNAプロジェクト)が5年計画で開始された。本プロジェクトの最大の成果は、DNA解析が難しかった黒ボ
Posted On 20 10月 2014
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S31-03 : 圃場試験データの評価におけるメタアナリシスの活用

川口 章1 1岡山県農林水産総合センター農業研究所 病原体が土壌微生物に由来する植物病害の多くは難防除であり、現在においても農業生産上の脅威であり続けている。とある防除技術を開発するにあたっては、室内試験だけでなく圃場レベルでの防除効果を評価する試験(圃場試験)を複数回行い、その効果を客観的に評価する必要がある。しかし、圃場試験では環境要因、供試サンプル数(サンプルサイズ)、発病程度などが異なるため結果にばらつきが生じやすく、各試験事例の発病株(ここでは発病した植物体を指す)割合を単純に平均した評価では様々なバイアスの影響を排除できない。そのため、防除効果の真の効
Posted On 20 10月 2014
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S31-04 : 土壌真菌群集と植物のネットワーク解析: 土壌管理への展望

東樹 宏和 京都大学 人間・環境学研究科 一握りの中にも数千・数万の細菌と真菌が息づく土壌は、科学が対象とするシステムの中でも最も複雑なものの一つである。一方で、地球レベルで喫緊の課題となっている温暖化、土壌流失、土壌汚染、食糧不足等の問題に対処するために、土壌圏の動態を包括的に理解する枠組みが求められている。本講演では、土壌真菌と宿主植物の共生ネットワークに関する次世代シーケンシング解析の成果を紹介しつつ、生態学の基礎的知見がもたらす土壌管理上の方向性について議論したい。農地であれ、森林であれ、ある植物種のバイオマスが増加すると、その相利共生(もしくは寄生)菌が
Posted On 20 10月 2014
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S31-05 : 地球温暖化と土壌微生物

妹尾 啓史  東京大学大学院農学生命科学研究科 農耕地土壌は、温室効果ガスの一つでありオゾン層破壊作用も有する一酸化二窒素(N2O)ガスの大きな発生源である。肥料に含まれる窒素が土壌微生物による形態変化を受けてN2Oが生成する。土壌においてN2O生成や消去に関わる鍵微生物を特定・分離・解析することはN2O発生削減技術の基盤として重要である。 農耕地土壌のうち畑土壌からのN2O発生が著しい。有機質粒状肥料を土壌に施用した際のN2O発生原因微生物の特定を試みた。肥料を土壌に混合施用した際のN2O発生は主に細菌脱窒に由来していた。土壌のメタゲノム情報を参考に、菌株ゲノム
Posted On 20 10月 2014
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S31-06 : 土壌は気候変動を増大させるか?:土壌から大地の微生物学へ

太田 寛行 茨城大学農学部 “Will soil amplify climate change?”(Powlson, 2005)の議論が始まり、“土壌炭素分解の温度感受性と気候変動へのフィードバック”(Davidson & Janssens, 2006)の論考では、土壌有機物の多様性と分解の温度感受性、そして環境制約との関係が指摘された。すなわち、土壌有機物の性状だけでなく、存在状態や水分条件等が有機物分解の見かけ上の温度感受性に関係するのである。それ以前に、Beareら(1994)は土壌の耐水性団粒を壊して発生する無機化CO2量から、土壌団粒内の微生物に
Posted On 20 10月 2014
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S31-07 : 同位体顕微鏡法:安定同位体トレーサーのin situ局所解析法

久我 ゆかり 広島大学大学院総合科学研究科 同位体顕微鏡は二次イオン質量分析法(secondary ion mass spectrometry: SIMS)を基本として安定同位体マッピングをマイクロスケールで行うことができる装置であり,主に鉱物など宇宙科学の分野で同位体比の分析に用いられてきた.近年,本装置の生物学研究への応用として,安定同位体化合物を用いたトレーサー実験と微細構造観察用試料作製法と組合せる新規手法が注目されている.本手法は地球上の各元素の安定同位体天然存在比がほぼ一定であること利用し,安定同位体標識化合物・分子の挙動を同位体比として局所解析するも
Posted On 20 10月 2014
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