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S31-03 : 圃場試験データの評価におけるメタアナリシスの活用
Posted On 20 10月 2014
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1岡山県農林水産総合センター農業研究所
病原体が土壌微生物に由来する植物病害の多くは難防除であり、現在においても農業生産上の脅威であり続けている。とある防除技術を開発するにあたっては、室内試験だけでなく圃場レベルでの防除効果を評価する試験(圃場試験)を複数回行い、その効果を客観的に評価する必要がある。しかし、圃場試験では環境要因、供試サンプル数(サンプルサイズ)、発病程度などが異なるため結果にばらつきが生じやすく、各試験事例の発病株(ここでは発病した植物体を指す)割合を単純に平均した評価では様々なバイアスの影響を排除できない。そのため、防除効果の真の効果(真値)を誤って判断してしまう可能性がある。また、複数回の圃場試験の中には、最もよく効果が現れた結果(チャンピオンデータ)と、効果が認められなかった結果が混在することもあるだろう。複数のデータを並べただけでは真値を判断する事は不可能である。 そこで、臨床医学の分野において治療方法を評価するために広く用いられている統計解析手法である‘メタアナリシス(Meta-analysis)’の農業分野への応用について紹介したい。メタアナリシスは、複数の独立した試験事例を統合評価することができる統計解析手法であり、試験事例数、サンプルサイズおよび対照区の発病株数に重み付けを行うことで、これらの偏りを理論的に補正する。よって得られた統合評価は、統計的に算出された信頼区間内において、妥当性の高いものと言える。本シンポジウムでは、土壌病害の一つ‘根頭がんしゅ病’に対する生物防除研究における圃場試験のメタアナリシスの事例を紹介する。
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