S31-07 : 同位体顕微鏡法:安定同位体トレーサーのin situ局所解析法
Posted On 20 10月 2014
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広島大学大学院総合科学研究科
同位体顕微鏡は二次イオン質量分析法(secondary ion mass spectrometry: SIMS)を基本として安定同位体マッピングをマイクロスケールで行うことができる装置であり,主に鉱物など宇宙科学の分野で同位体比の分析に用いられてきた.近年,本装置の生物学研究への応用として,安定同位体化合物を用いたトレーサー実験と微細構造観察用試料作製法と組合せる新規手法が注目されている.本手法は地球上の各元素の安定同位体天然存在比がほぼ一定であること利用し,安定同位体標識化合物・分子の挙動を同位体比として局所解析するもので,近年植物-真菌共生細胞間における炭素,窒素等の受け渡し機構の研究に用いられた(Kuga et al., 2014).生体・細胞機能解析において形態学的手法は,酵素活性,核酸・タンパク質,酵素-基質反応,オートラジオグラフィーによる放射性同位体等の局在を示すことが可能である.本手法は,安定同位体を用いる代謝解析をin situで行う手法として,さらに,微生物生態系におけるマイクロスケールの元素循環研究への応用など,新しい形態学的微生物生理・機能・相互作用解析法として期待される.
keywords:菌根共生,元素輸送,表面分析,,