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S31-02 : 土壌eDNA診断技術の現状と展望
Posted On 20 10月 2014
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農業環境技術研究所
高品質な作物生産を行う上で、安定した地力の確保、連作障害等の病害の克服が重要であり、それを実現するためには、土壌の物理性、化学性、生物性を適切に把握する必要があるが、培養できない微生物が圧倒的に多い土壌の生物性解明とその活用技術の開発を推進するためには、誰もが解析可能な土壌DNA解析手法が必要であった。そこで、この課題の克服を目指して、2006年農林水産省委託プロジェクト「土壌微生物相の解明による土壌生物性の解析技術の開発」(通称、eDNAプロジェクト)が5年計画で開始された。本プロジェクトの最大の成果は、DNA解析が難しかった黒ボク土を含む全国の耕地土壌で利用可能な土壌微生物相の標準eDNA解析マニュアルを提案したことであるが、もう一つの特筆すべき点として、短い期間に目標を達成することができた背景には、土壌微生物と植物病理及び一部の情報処理分野の専門家46名が一丸となって一つの目標に向かって取り組んだことが挙げられる。日本土壌微生物学会での日頃の連携がこうしたプロジェクト推進に大きな力となったと考えている。本講演では、eDNAプロジェクトの成果として、PCR-DGGE標準化マニュアルとその有効性の検証及びそれら成果を登録する農耕地eDNAデータベース(eDDASs)の構築について紹介するととともに、同時に進められた基礎的研究(土壌RNA解析、メタゲノム解析、特定遺伝子発現解析など)を紹介する。さらに、eDNAプロジェクト後に進められた土壌DNA解析の活用を目指した複数のプロジェクトの研究の現状とその社会実装に向けた取り組みと展望について紹介する。
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