JS11-2:たんぽぽ計画:国際宇宙ステーションでの微生物採集・曝露実験
東京薬大学・生命・応用生命
地球外天体に生命やその痕跡を探す研究・探査が近年盛んに行われるようになって来た。また、微生物の宇宙空間曝露実験による生命の宇宙空間での生存可能性の検証が行われてきた。これらの研究の進展に従って、宇宙空間を(微)生物が移動する可能性、「パンスペルミア仮説」、もまた再考され、そのようなパンスペルミアがそもそも可能であるかを検討する研究が進められてきた。
我々は、ISS-JEM(国際宇宙ステーション・日本実験棟)曝露部上での微生物と生命材料となり得る有機化合物の天体間の移動の可能性の検討と微小隕石の検出および解析実験を提案した[たんぽぽ:有機物・微生物の宇宙曝露と宇宙塵・微生物の捕集]。
地球由来微生物の宇宙での生存可能性と、その存在範囲を検討するために、次の様な実験を行う。
① 超低密度エアロゲルを長期間(1年以上)曝露し、惑星間塵や宇宙デブリを含む微粒子を捕集するとともに、新規に開発したエアロゲルの利用可能性を検証する。捕集された微粒子とそれが形成する衝突痕(トラック)に対して、微生物または微生物関連生体高分子(DNA等)の検出を試み、ISS軌道(高度約400 km)での地球由来微生物の存在密度の上限を推定する。
② 微生物を宇宙曝露する事により、微生物の宇宙環境での生存可能性と、生存に影響を与える環境因子について、推定を行う。Deinococcus radiodurans (R1株とDNA修復系変異株)、Deinococcus aerius TR0125、Deinococcus aetherius ST0316、陸生シアノバクテリアNostoc sp. HK-01、分裂酵母Schizosaccharomyces pombe JY3胞子の宇宙曝露を約1、2、3年と曝露期間を変えて行い、それぞれを解析する。
実際の運用では、同装置は汎用曝露装置(ExHAM)に固定され、きぼう与圧部エアロックからロボットアームによって同曝露部に設置され、一定時間曝露された後に再度同ルートで回収、有人帰還船に搭載して地球に帰還する予定である。
本発表では、本計画の概要と進行状況(特に微生物捕集並びに微生物宇宙曝露)等について報告する。
keywords:国際宇宙ステーション,パンスペルミア,宇宙曝露実験,Deinococcus