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P19-02 : 効率的脱塩素化を可能とする嫌気的酢酸酸化細菌の分離
Posted On 20 10月 2014
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1静大・工・物質工, 2静大院・工
トリクロロエテン(TCE)等の塩素化エテン類は、土壌・地下水汚染の代表的な難分解性汚染物質である。これらの汚染浄化には既にDehalococcoidesを利用したバイオレメディエーションが実施されているが、cis-1,2-ジクロロエテン(cDCE)やビニルクロライド(VC)で反応が停止する事や、メタン生成アーキアとの水素を巡る競合阻害等の問題がある。本研究では、効率的脱塩素化を可能とする微生物群集の特性を種間水素伝達系の視点から明らかにする事を目的とした。
汽水湖底泥を接種源、クエン酸を電子供与体及びTCEを初期塩素化化合物として継代培養し、TCE完全脱塩素化集積培養物LS系を構築した。LS-5thでは約3週間でTCEが完全脱塩素化したのに対し、LS-6thでは約15週間費やした。これらの微生物群集構造を解析した結果、効率的な種間水素伝達系を持つLS-5thでは嫌気的酢酸酸化細菌が酢酸から水素を生成し、その低濃度水素を電子供与体としてDehalococcoides がcDCEやVCを分解したと考えられた。従って効率的脱塩素化には嫌気的酢酸酸化細菌の活性が重要であると示唆された。次に嫌気的酢酸酸化細菌の取得を目的とし、LS-9thから70菌株を分離して有機酸分解能を観察すると、酢酸を初期濃度約0.21 mMから0.03 mMまで分解した菌株が一つあり、16S rRNAを標的とした相同性解析の結果Moraxella osloensisと99%近縁であることが示された。現在LS-11thにて嫌気的酢酸酸化細菌とDehalococcoidesを含む種間水素伝達系の特性を解析している。
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