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P19-13 : プラスチック由来の低分子化合物を分解する菌の研究
Posted On 20 10月 2014
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1静大院・農, 2産総研
海洋には多くの海ゴミが漂流しており、その海ゴミの多くをプラスチックが占める。このプラスチック類やこれらに由来する低分子が海洋環境を汚染することが、世界規模の環境問題として懸念されている。とくに海ゴミ中で大きな存在割合を占める発泡スチロールの主成分である高分子のポリスチレンについては、生じるスチレンダイマー(以下、SDとする)等の低分子の毒性や除去の方法に関する知見はほとんど存在しない。そのため本研究ではSDを分解する菌株を海水から分離しその解析を行う。分離源には、静岡県静岡市大谷海岸の海水を用いた。SDが1000ppmの濃度となるように添加した無機塩類培地(以下、SD培地とする)に海水を加えて7日間ごとに植えつぎを行う継代培養を13回続けることで1種の菌株の分離に成功した。同菌の16Sr RNA遺伝子の塩基配列の解析を行った結果、Leifsonia属細菌の16Sr RNA遺伝子と100%同一の配列であった。さらに、同菌のSD分解を評価するため、SD培地に菌体を加えた試験区と菌体を加えていない対照区の培養液のUVスペクトルの比較を行った。その結果、239nm付近で見られるSDのピークの値が対照区に比べ試験区で減少し、同菌株がSDを分解することが示唆された。現在、SD分解の中間産物の検出等を目標に高速液体クロマトグラフィーによる解析を検討している。
keywords:プラスチック,スチレン,微生物分解,継代培養,