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P19-23 : 耐塩性糸状菌を用いた環境浄化に関する研究(8)-海洋環境から単離した糸状菌を用いた人工海水培地における染料脱色-
Posted On 20 10月 2014
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1東京海洋大院・海洋科学・食品流通
染料は様々な分野で広く利用されており、染料を扱う工場からは多種類、大量の廃水が排出され問題となっている。当研究室で海洋環境から単離したPestalotiopsis sp.SN-3(以下SN-3菌)がKirk培地において多種類の合成染料を脱色できることがこれまでの研究により明らかにされている。本研究では、SN-3菌を用いた海洋環境下における染料脱色を目的とし、人工海水培地を用いて合成染料を効率的に脱色することを目的とした。 Kirk培地で脱色がみられた6種の合成染料(アゾ染料:Food Red 2、Reactive Black 5、Reactive Red 120、キサンテン染料:Food Red 3、Food Red 104、Food Red 105)を対象とした。各染料を含む人工海水培地(人工海水にグルコース、Yeast Extract等を添加)にPDB培地で前培養したSN-3菌を植菌し、27℃、暗所で最大7日間振とう培養(160 rpm)した。染料は7もしくは70 ppmに調整した。人工海水培地で7日間培養した結果、人工海水のみでの脱色率を大きく上回り、検討したすべての染料で60%以上の高い脱色率が得られた。アゾ染料については、経時的に脱色率が向上した。検討した上記キサンテン染料については、培養24時間で脱色率は95%に達したが、菌の生育時のpH低下による沈殿除去に起因して脱色することが示唆された。現在、最大の脱色率が観察されたReactive Black 5の脱色機構について検討を行っている。
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