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S13-02 : メタゲノムアプローチによるバイオレメディエーション普及に向けた生態系評価技術の開発
Posted On 20 10月 2014
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産業技術総合研究所生物プロセス研究部門
日本国内には土壌汚染の対策費が多額となるため土地売却が困難と考えられる土地(ブラウンフィールド)が存在し、円滑な土地取引や土地利用など経済活動を阻害している。バイオレメディエーション(Bioremediation)は生物の代謝能を利用して汚染物質を分解することで土壌や地下水等の環境汚染の浄化を図る技術で、中でも、微生物によるバイオレメディエーションは低コストかつ投入エネルギーも少ない環境に優しい技術として利用拡大が期待されている。バイオレメディエーションには、栄養源や酸素を加えて浄化現場の土着微生物の浄化能力を活性化することで浄化を行う「バイオスティムレーション」と、外部から浄化能力が有る微生物を導入して浄化を行う「バイオオーグメンテーション」が有るが、浄化時間の短縮や土着微生物では分解できない難分解性物質の浄化に役立つ技術として「バイオオーグメンテーション」が注目されている。微生物の開放系利用となるバイオオーグメンテーションは、導入する微生物の安全性評価を実施し、浄化サイトの生態系への影響や人への健康影響を低減することが求められており、評価指針の策定や評価手法の研究開発が行われている。本講演では、バイオレメディエーションが生態系に与える影響を評価するために、塩素化エチレン類の実汚染土壌・地下水を用いて、有機資材の添加によるバイオレメディエーション試験を実施し、次世代型シーケンサーによるメタゲノム及びメタトランスクリプトーム解析を利用して菌叢や遺伝子発現の変動を解析する研究について紹介すると共に、今後の展望について国内外の研究成果も交えて概括を行う。
keywords:bioremediation,biostimulation,bioaugmentation,metagenomics,metatranscriptomics