P19-10 : 低温環境下でのA重油分解菌の挙動と分解能の評価
Posted On 20 10月 2014
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1静大院・工・化学バイオ, 2静大・工・物質工
油汚染環境の浄化手法として,微生物を利用したバイオレメディエーションは,これまでに広く研究されている.しかし多くの場合,温度条件が25-30℃に設定されており,必ずしも汚染環境の実情を反映していない.そこで本研究では,油分解菌を用いて,低温環境下におけるA重油の分解能の評価を行った. 油分解菌Rhodococcus erythropolis A株を,1/3LB液体培地を5 mL入れた試験管に植菌し,30℃,120 rpmで48 h培養したものを前培養液として用いた.200 mL蓋付きフラスコにW培地を100 mL,前培養した培養液(OD595 = 0.9)を1 mL接種し,A重油を終濃度500 mg/Lになるよう添加した.これを10℃または15℃,120 rpmで振盪培養した.培養開始から0,3,6,9,12日目にサンプルをGC-FIDにて測定して,油の分解評価を行った。 A重油存在下,低温で培養すると,白く細い形状の凝集体が,培養3日目から観察され,9日目には小さなペレット状のものが観察された.また凝集体をSYBR® Greenにて染色後,蛍光顕微鏡で観察したところ,細胞の形状に蛍光をした認められたのため,この凝集体は菌体の集合体であると考えられた.A重油の残存量を測定したところ,10℃または15℃いずれの温度条件でも,12日間の培養で,85%以上が分解されていた.なお,菌体を加えていないサンプルでは分解が認められず,A重油の揮発は生じなかったことが示唆された.現在は乾燥重量測定法を用いて,凝集体に含まれる菌体量の測定と,分解速度との相関について検証を試みている.
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