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S11-02 : 電子線励起顕微鏡による超解像観察
Posted On 20 10月 2014
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1静岡大学大学院工学研究科, 2CREST, 3静岡大学電子工学研究所, 4静岡大学創造技術大学院,
我々は、走査型電子顕微鏡と光学顕微鏡を組み合わせた超解像顕微鏡を開発している。近年、非常に微細な構造をもつ物質や数百ナノメートル以下の微粒子の開発が盛んに行われている。それらは、ウェットな環境で使用されることもある。そのため、液体中などの環境下の細胞、細菌やナノマテリアルの状態や動きを観察することは非常に重要である。液中の試料は、光学顕微鏡で観察することができる。しかし、その空間分解能は光の回折限界により、約200nmに制限される。したがって、200nmより小さな試料を個々に分離して観察することはできない。それに対して、電子顕微鏡は、数ナノメートル程度の高い空間分解能を有している。しかし、電子線は大気中を伝搬できないため、真空環境が必要となる。液体を真空中に設置すると、液体が蒸発してしまう。そのため、液中の試料を観察することはできない。このように、液体中の200nm以下の試料の状態や動態を観察することは難しい。開発した電子線励起顕微鏡は、数十ナノメートルの空間分解能で、大気圧下、液中の試料の高分解能・実時間観察を実現する。走査型電子顕微鏡のチャンバー内の真空は電子線を透過する窒化シリコン薄膜で封止する。これにより、電子顕微鏡を用いても、大気圧下に試料を置くことが可能となる。窒化シリコン薄膜は、薬品にも強く、この薄膜上で細胞を培養することも可能である。電子ビームは、数ナノメートルのビーム径まで収束することができる。その電子線ビームを用いて試料を観察することで、光の回折限界を超えた空間分解能を実現した。
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