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S11-01 : 原核生物の体の動かし方
Posted On 20 10月 2014
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学習院大学 理学部 物理学科
生物は,バクテリアからヒトに至るまで自発的に運動する仕組みを細胞・組織レベルで備えており,まわりの環境などに応じて驚くほど多様なメカニズムを発達させてきた.しかし,原核生物の運動様式で,詳細なメカニズムが明らかになっているものは,バクテリアのべん毛などほんのいくつかの仕組みに限られている.本演題では,以下に挙げるような原核生物の細胞1匹の体の動かし方を光学顕微鏡下でナノメーターレベルの精度で詳細に“見る”ことで,遺伝子の類似性とは異なる新しい視点で,これらのメカニズムや環境下での役割について考えたい.1:シアノバクテリアの一種であるシネコシスティスは線毛の伸長・収縮させることで光に向かって固体表面上を『てけてけ』と動く.2:バクテロイデス属細菌の多くは,大きな運動装置を持たないにも関わらず,表面タンパク質をキャタピラのように動かすことで,固体表面上で『もじもじ』と踊るような仕草を見せる.3:ハロアーキアなどの古細菌にはIV型線毛からなるべん毛があり,その繊維を回転させることで,『もごもご』と水中を泳ぎまわる.
keywords:滑走運動,フラボバクテリア,らせん,twitching motility,シネコシスティス