S11-05 : 形質転換・染色・前処理いらずの微生物集団4D解析技術COCRM
Posted On 20 10月 2014
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1筑波大学生命環境系, 2筑波大学大学院生命環境科学研究科
地球上の多くの微生物は集団形態(バイオフィルム)で存在していることが明らかになってきている。実際にバイオフィルムが形成される環境条件は非常に多様であり,バイオフィルムの生態を知るためには実環境を模した環境条件で,特別な処理を行わずに解析を行う事が望ましい。そこで我々は,バイオフィルムの非破壊的な観察,解析をキーワードとしてバイオフィルム研究技術の開発,改良を行ってきた。その中で開発されたのが,反射顕微鏡法を基礎としたContinuous-optimizing confocal reflection microscopy (COCRM)である。COCRMが蛍光を用いるCLSMと大きく異なる点は,物体からの反射光をシグナルとして利用する点で,観察が蛍光に依存しない事から,対象となる菌体の形質転換や染色を行う事なく三次元構造を可視化できる点である(バイオマス量も定量可能)。さらに,反射光を利用したCOCRMの大きな特徴の一つとして,蛍光を用いるCLSMでは難しい,バイオフィルムの付着基質を含めた非破壊的な観察が可能となった。我々はCOCRMを用いて複数種の微生物からなる実バイオフィルムの観察を行い,その形成過程について,基質を含めた同一視野を経時的かつ非破壊的に可視化,定量する事に成功した。CLSMやCOCRMといった顕微鏡法を用いてバイオフィルムの非破壊的な観察を行う事で,バイオフィルムを生きた状態で観察しつつ,さらに別の解析手法と組み合わせることによって,その生理状態を同時に解析する事が可能となった。微生物集団動態の3次元かつ経時的(4D解析)解析技術について紹介させていただく。
keywords:バイオフィルム,微生物間相互作用,共焦点レーザー顕微鏡,微生物動態,細菌シグナル