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O27-02 : 米ぬかによるジャガイモそうか病抑制機構の解明2)米ぬか施用条件下のジャガイモ根圏土壌細菌の群集構造解析
Posted On 20 10月 2014
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1鹿児島県農総セ, 2北農研
【目的】西南暖地では,ジャガイモそうか病対策のために土壌への米ぬかの施用が行われているが,その発病抑制機構については不明な点が多い。これまで我々は,米ぬか培地でそうか病菌の生育が抑制され,その原因として米ぬか中のフィチン酸がそうか病菌に対して低pH域で静菌作用を持つことを示した。今回は,米ぬか施用によるジャガイモ根圏細菌の群集構造解析を行った。
【方法】ジャガイモ根圏土壌を空中分画法により採取し,16S rRNAを対象としたアンプリコンシークエンシング解析を行った。また,同土壌からR2A培地を用いて放線菌を分離し,そうか病菌に対する拮抗性等を調査した。
【結果】試験ほ場でのジャガイモ根圏土壌中の細菌群集は,Proteobacteria,Acidobacteria,Actinobacteria,Fermicutesの4門で約70%以上を占めた。これらのうち,米ぬか施用によりActinobacteriaおよびFermicutesが慣行栽培に比べて有意に増加し,Acidobacteriaが有意に減少した。属レベルにおいても,BacillusやStreptomyces,Mycobacterium等のグラム陽性菌群が米ぬか施用により有意に増加した。さらに,米ぬか施用後,根圏土壌から培地で分離される放線菌数が有意に増加した。これらの分離した放線菌の60%以上は,2種のそうか病菌に対して培地上で拮抗性を示した。以上,米ぬか成分による静菌作用に加えて,ジャガイモ根圏でそうか病菌に対して拮抗性を示すグラム陽性菌群が増加することも,米ぬか施用によるそうか病抑制機構の一部を説明し得る可能性が示唆された。
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