O27-03 : 属特異的プライマーを使用したRibosomal Intergenic Spacer Analysis（RISA）法によるPhytophthora属菌の検出

戸田 武,奈良 知春¹,藤 晋一¹,古屋 廣光¹
1秋田県大・生物資源Phytophthora属菌は世界各地の植物に深刻な被害を引き起こす病原菌である。本菌類は罹病部から菌体を分離することが難しいとされている。そこで本研究では、早期検出技術を確立するために、リボソームDNAから設計したプライマーがPhytophthora属に特異的であるか検証するとともに、同プライマーを使用したRISA法によって植物の地下部からPhytophthora属菌を検出できるか検討した。設計したプライマーの特異性は、Phytophthora属10種およびPythium属菌を含む土壌伝染性病原菌12種を使用し、PCRによって検証した。その結果、Pythium ultimumから増幅産物が検出されたが、それ以外では設計したプライマーがPhytophthora属に特異的であると認められた。プライマーを蛍光標識してRISA法に使用したところ、Phytophthora属菌から検出された増幅産物のサイズ値が、種によって識別できた。また、ダイズ茎疫病菌Phytophthora sojaeのサイズ値は767-769であるのに対し、ダイズに病原性を示すPythium ultimumは752-753であった。植物体から検出できるか検証するために、ダイズを属特異的プライマーによるRISA法に使用したところ、茎疫病の症状を呈したダイズの地下部から茎疫病菌と同じサイズ値の増幅産物が検出された。以上の結果から、本研究で設計したプライマーはPhytophthora属に特異的であるとともに、RISA法に使用して植物体からPhytophthora属菌を検出できることが示唆された。

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