P17-08 : ゲル微粒子内における環境微生物の初期増殖
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1広島大・院・工・社会基盤環境工, 2広島大・サステナセンター, 3早稲田大・理工学術院・生命医科学
環境中の微生物の99%以上は現在の培養技術では分離培養できない、いわゆる難培養性である。そもそもこの現象は、一般的な平板培養において植菌した細胞数に対して1%以下のコロニーしか形成しない、という現象に基づいて表現されていることでもある。一方で、本来その事実は微生物学において本質的に重要な課題であるにもかかわらず、なぜほとんどの微生物はコロニーを形成しないのか、つまり難培養性という性質についての本質的な理解は全く得られていない。 そこで、本研究では新しい分離培養手法を開発すること、さらに同時に環境微生物の「難培養性」について以下の観点から知見を得ることを目的とした。1)増殖開始時のマイクロコロニーの形成のモニタリング、および2)1 pLという極小容器の内部で1細胞から増殖させることに対する培養効率への影響である。 具体的には、微生物1細胞を微小ゲル粒子内(粒径:30μm程度)にトラップし、油相または水相(ハイドロゲル)中に分散させて培養し、内部におけるマイクロコロニーの形成過程や得られる菌株の新規性、多様性などを評価した。油相中で培養する方法では、極めて簡便に106の細胞を一つずつ極小容器(1 ピコリットル)に封入し、それぞれが独立した状態(物質・細胞の移動がない)で培養することが可能であり、特徴的かつ有効な培養法であることが判明した。さらに多様な環境サンプルにおいて30-50%程度という極めて高いコロニー形成率を示すことが明らかになった。さらに水相中に微小ゲル粒子を分散した場合も同時に初期増殖を簡便かつ定量的にモニタリング可能であるという特徴を併せ持つことが判明した。
keywords:環境微生物,難培養性,,,