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O25-02 : 未培養KSB3門細菌のゲノム再構成と機能推定
Posted On 20 10月 2014
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1産総合・バイオメディカル, 2Australian Centre for Ecogenomics, Univ. Queensland, 3クボタ化水
メタン回収型嫌気性廃水処理プロセスを構成する複合微生物群の多くは未培養であり、その機能は未知なまま残されている。未培養細菌門(KSB3門)に属する糸状性細菌が嫌気性廃水処理プロセスにおいて深刻なバルキングを引き起こすことが報告されているが、本微生物群の培養は困難でありその機能の多くは不明である。本研究では、KSB3門細菌の持つゲノム情報を取得するため、KSB3門に属する微生物群を複数種含む嫌気性廃水処理複合微生物群のメタゲノム情報を基に、differential coverage binning法を利用し構成微生物群のポピュレーションゲノムを再構成した。その結果、KSB3門に属する2種のドラフトゲノムが得られた。1つめのポピュレーションゲノム(UASB14)はバルキング原因細菌由来のものであり、通常の処理プロセスにおいて10%程度の存在率で処理プロセスに存在していた。もう一つのゲノム(UASB270)は比較低低頻度(0.5%程度)で存在する細菌由来のものであり、UASB14とは綱レベルで異なる系統分類群を代表するものであった。FISH法による各菌体の蛍光検出の結果、両者ともグラム陰性の糸状性菌体を有していた。比較ゲノム解析の結果、これら微生物群は環境センシングに関わると考えられる遺伝子を最も多く有する細菌群の一つであることが明らかになり、その後の解析の結果、特定の条件下でグライディングを行うことが明らかになった。KSB3門細菌のゲノム再構成の結果見えてきた本細菌群の機能、バルキング時の役割について報告する。
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