P16-20 : 異属三菌株のフェノール分解代謝経路の解析と発現制御
Posted On 20 10月 2014
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1静岡大・院・工, 2Universiti Putra Malaysia
微生物生態系の持つ動的平衡機構は、システムの安定性に深く寄与していると考えられているが未だ概念の域を超えておらず、その実体の理解が求められる。これまで当研究室では、モデル微生物生態系としてフェノール資化性の異属3菌株混連続集積培養系を構築し解析してきた。本モデル系において菌密度のモニタリングおよびフェノールおよびカテコールに対する動力学的解析を実施したところ、群集構造の変遷が再現よく観察された。そこで本研究では、この動的平衡機構の解明を図る一環として、供試細菌のフェノール代謝がどのように調整されているかを詳細に解析することを目的とした。供試細菌Ralstonia sp. P-10株、Comamonas testosteroni R2株およびPseudomonas sp. C8株のゲノムを解析し、フェノール代謝経路を推定した。その結果、3菌株ともphenol hydroxylase遺伝子を有していた。P-10株およびR2株ではcatechol-2,3-dioxygenase (C23O)遺伝子およびその下流代謝遺伝子群が確認されメタ開裂代謝経路を有していた。P-10株およびC8株はcatechol-1,2-dioxygenase (C12O)遺伝子を有しオルト開裂代謝経路を有していた。また、C8株ではbiphenyl-1,2-dioxygenase (bphC)を有し、別系列でのメタ開裂代謝経路を有していた。更に、フェノール代謝遺伝子群は複数の制御システム下にあった。以上の結果から、システム全体の代謝が柔軟に制御され、結果としてシステムの動的平衡をもたらす可能性が示唆された。
keywords:microbial ecosystem,system stability,metabolism,,