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P16-01 : Dアミノ酸でよりよく生育する微生物:アンチキラル生物を探して
Posted On 20 10月 2014
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1広島大・院・生物圏
生体を構成するグリシン以外のアミノ酸には鏡像異性体が存在し、地球生物はその片方であるLアミノ酸を選択して使っている。もし体の大部分がDアミノ酸からなるD-ホモキラル、アンチキラルな生命を見つけることができたら、それは我々とは別系統である可能性があり、地球生命は単一系統という常識を打ち破る発見になる。しかし、アンチキラル生物の探索には時間と労力を要する。そこで我々はより現実的な生物を探した。Dアミノ酸を唯一の炭素源として資化することのできる生物である。様々な生物が普遍的に持っているAsp、Ala、GluのD型を含む培地を作成し、様々な環境から細菌を単離、培養し、Lアミノ酸の培地で培養したときとの増殖速度や収量と比較した。その結果、GluにおいてLよりもDで生育が速く収量も高いという菌株が見つかった。16S rRNA遺伝子の相同性検索の結果、この菌株はRaoultella ornithinolytica (DDBJ accession no. HQ259705)と最も近縁であった。この菌を構成する全てのAspとGluについてHPLCで分析を行ったが、D-Aspは全Aspの4.8 %、D-Gluは全Gluの3.8 %のみであった。一方、他の菌株においてD-Aspが44.7 %、D-Gluが26.3 %とかなり高い値を示すものがある。また、可溶性タンパク質画分においてDアミノ酸の割合が20 %を超える株もいくつか得られた。もし本当にこれだけのDアミノ酸がタンパク質に含まれていたとしたら、Lアミノ酸を正確に選択してタンパク質合成を行う古典的なセントラルドグマでは説明が難しいと思われる。
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