P16-03 : 培地調整法がもたらす分離生物種の差異と新規微生物の検索
Posted On 20 10月 2014
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1北大・農院・微生物新機能開発学, 2産総研・生物プロセス, 3Dep. Agronomy, Purdue Univ., 4北大・農院,
【背景・目的】環境中に存在する微生物は遺伝資源として重要であるが、現在単離培養されている数は全体の1%にも満たないと推測されている。これらの生物遺伝資源を最大限利用するにはより多くの未知微生物の培養化が望まれており、そのための新規技術や手法が求められている。多くの環境微生物が“難培養”である要因は多々あると考えられるが、本研究では寒天培地の調製法に注目し、その改善を試みることにより高い培養化、および新規微生物の効果的な培養手法の開発を目的として研究を実施した。
【方法】同一の培地組成を異なる手順で調製した2種の寒天培地に、北海道大学の林と池から採取した土壌・底泥試料を段階希釈した後塗布し、25oC・暗所下、好気または嫌気条件において21日間培養を行った。その間毎日コロニーカウントを行い、各条件のCFUを比較した。またこれらの培地に生育したコロニーのうち、計393コロニーの16S rRNA遺伝子の塩基配列解析を行ない、分子系統解析を行った。
【結果】異なる手順で調整した2種の寒天培地を用いて、土壌ならびに底泥試料を培養したところ、好気培養・嫌気培養いずれにおいても、2種の寒天培地間でコロニー形成率に差がみられた。次に、上記培地に生育した微生物の16S rRNA遺伝子配列解析を行ったところ、高いコロニー形成率を示した調整法の寒天培地からはもう一方の培地と比較して新規性の高い細菌がより多く見いだされ、特に目レベル以上のレベルで新規な細菌は前者の培地のみから見いだされた。以上のことから、寒天培地調製法の改善がコロニー形成率の向上と新規微生物の単離に効果的である事が示された。
keywords:Agar,Culture media,Unculturable,Colony growth,Novel microorganisms