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O25-03 : 国際宇宙ステーション「きぼう」における細菌群集構造
Posted On 20 10月 2014
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1阪大院・薬, 2鳥取大・農
【目的】微生物は我々の健康と密接に関わっている。微小重力下では免疫能が低下し、一部の細菌のビルレンスが高くなるという報告もあり、地上以上に微生物汚染に対する注意が必要である。そこで当研究室では宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力し、2009年から国際宇宙ステーション「きぼう」における細菌モニタリングを進めている。本発表では、「きぼう」運用開始直後から3年間における細菌群集構造の変化について報告する。
【方法】「きぼう」内の被検面として、細胞培養装置の表面および内側、手すり、空調機送風部および吸気部を選んだ。試料採取は2009年9月、2011年2月、2012年9月に、スワブ法により宇宙飛行士により行われた。試料中の細菌数は蛍光顕微鏡を用いた直接計数法および定量的PCR法により測定した。細菌群集構造は16S rRNA遺伝子を標的としたpyrosequencingにより解析した。
【結果および考察】すべての被検面において、細菌現存量は蛍光顕微鏡法および定量的PCR法の定量限界付近(102~103 cells/cm2)であった。これらの結果から、「きぼう」は微生物学的に適切に管理されていることが分かった。また、Firmicutes、γ-proeobacteriaが優占し、特にStaphylococcus属、Enterobacteriaceaeが多くの割合を占めていることがわかった。すなわち、ヒトの常在細菌が存在しており、これらは宇宙飛行士の長期滞在により「きぼう」内に定着したものと考えられた。
*本研究はJAXAおよび日本宇宙フォーラムとの共同研究によりおこなった。
keywords:International Space Station,bacterial monitoring,community structure,,