O25-01 : 黄砂飛来にともなう生活環境の大気中の細菌群集の変動
Posted On 20 10月 2014
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1阪大院・薬・衛生
【目的】黄砂とともに飛来する微生物による健康および環境への影響について、社会的な関心が高まっている。この影響を評価するためには、ヒトの生活環境を対象とした研究が重要である。従来の研究の多くは、黄砂飛来時期の短期間を対象として評価を行っていたため、平常時における細菌群集の変動に関する情報が十分ではなかった。そこで、本研究では黄砂飛来時期に加えて、年を通してモニタリングを行い、生活環境の大気中の細菌群集の変動を明らかにし、黄砂飛来による大気中の細菌群集への影響を評価した。 【方法】生活環境におけるエアロゾルの採取のため、大阪大学薬学部屋上において100 m3の大気試料を採取した。期間は黄砂飛来時を含め、2010年11月から2014年6月まで行った(計48回)。試料からDNAを抽出した後、定量的PCR法を用いて細菌現存量を測定した。また一部の試料については、pyrosequencingにより細菌群集構造を明らかにし、 MDS法を用いてその類似度を分析した。 【結果および考察】平常時の大気中の細菌現存量は (2±3) × 103 cells/m3である一方で、黄砂飛来時には約10倍増加することが分かった。細菌群集構造解析の結果、平常時にはその変動は少ないことが明らかとなった。しかし、大規模な黄砂飛来時であった2010年11月12日には Bacillalesが群集の9割以上を占めた。このことから、黄砂の飛来は生活環境の大気中の細菌群集に影響を与える可能性が示された。なお、本発表では2014年度のデータも含めて考察する。本研究はJSPS・科研費(25281030)の助成により行った。
keywords:bioaerosol,airborne bacteria,Asian dust,long-range transportation,bacterial community analysis