P16-29 : 部分的な黒根腐病菌接種がダイズの根粒活性に及ぼす影響
Posted On 20 10月 2014
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1農研機構・中央農研セ
日本では大部分のダイズが水田転換畑に作付けされ,湿害等による生産性や品質の低下が大きな問題となっている.特に,ダイズの根粒窒素固定能が土壌水分の乾湿に敏感であることから,水分ストレスが転換畑での生育不良の主要因と考えられているが,それ以外の要因による悪影響も想定される. ダイズ黒根腐病は水田転換畑のような多湿条件で多発する立枯性病害で,ダイズの開花期以降に顕在化する.複数の報告とダイズ黒根腐病の特徴(重症化しないと枯死しないため,病気の認知度が低い)から考えると,現地圃場での原因不明の生育不良に本病が関わっている可能性は非常に高い.ところが,根系を侵す黒根腐病の根粒活性へ及ぼす影響を調査した報告は少ない. 本研究は,ダイズに黒根腐病菌を部分的に接種した場合に,根粒活性に及ぼす影響を調査し,その原因を解明することを目的として実施した.
エンレイを人工気象室で栽培し,播種後1週間後に根分け法で物理的に分けられた2つのポットに根を分けて栽培した.根粒菌培養液を接種し,60日後に,片方に黒根腐病菌を接種した.接種後,約1週間おきに通気型アセチレン還元測定システムを用いて,両側の根粒窒素固定(ARA)を測定した.
片方に黒根腐病菌を接種する「黒-C区」では,接種ポットのみ根粒窒素固定能(ARA)が接種後15-30日で減少することが分かった.それに対して,接種しない「C-C‘区」では,根粒窒素固定能の減少はなかった. 以上のことより,黒根腐病菌を接種した所のみに窒素固定能の減少がみられた.
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