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O22-07 : 海底下生命圏の地球横断的解析 –存在量・多様性を規定する因子の解明―
Posted On 20 10月 2014
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1JAMSTEC・高知コア研, 2JAMSTEC・海底資源研究開発セ, 3マリンワークジャパン
地球表層の7割を占める海底下環境は、2.9 x 1029もの微生物細胞が存在すると試算される地球上最大の生物圏である。しかし、それらの微生物の生態や機能については未知な点が多い。現在、高知コア研究所には科学海洋掘削により世界各地で採取された300以上の凍結掘削試料が保管されている。本研究では、これらの試料を海底下堆積物をターゲットに開発した最新の手法で分析し、海底下生命圏の量、多様性、機能の空間的分布を全球規模で解析する。さらに得られたデータを、化学成分、物理データ、さらには古環境学・地質学的な情報のデータベースと統計学的に分析し、海底下生命圏の時空間的分布を規定する因子、地球史の形成との関わりを明らかにすることを目的に検討を行っている。本発表では、これまでに得られたバクテリア、アーキアの量的分布について主に紹介したい。 環境DNAは、海底下0.1m—400mから採取した堆積物試料からhot-alkaline法により抽出した。16S rRNA遺伝子の定量は、環境中から共抽出されるPCR阻害物質の影響を受けずに、絶対的定量を可能にするdigital PCRを用いて行なった。その結果、16S rRNA遺伝子のアーキア/バクテリア比の平均は0.37程度であり、海底下生命圏においてはバクテリアとアーキアのポピュレーションがほぼ拮抗していることが確認された。しかしながら、掘削地点毎のアーキア/バクテリア比は、地点毎に異なった値を取り堆積物の組成や環境因子に影響を受けていることが伺われた。今後は、微生物量、アーキア/バクテリア比を規定する環境因子について更に考察を深める予定である
keywords:海底下生命圏,IODP,digital PCR,,