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O22-06 : 南海トラフメタンハイドレート含有堆積物における生物的メタン生成
Posted On 20 10月 2014
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1産総研・地圏資源環境, 2資源機構
海底堆積物に賦存するメタンハイドレート(MH)は地球上における生物起源メタンの最大の貯蔵庫と言われている。資源量を推定する上での重要性にも関わらず、その詳細な生成機序は明らかにされていない。 我々は、南海トラフでのMH産出試験の一環で採取されたMH含有堆積物コア試料を用い、メタン生成活性及びメタン生成古細菌関連遺伝子の分布を調べた。 ラジオトレーサーを用いたメタン生成活性測定の結果、どの深度でも水素資化性の方が酢酸分解性メタン生成活性よりも高かった。454パイロシーケンシングによる16S rRNA遺伝子配列及びmcrA遺伝子ライブラリにおいて、水素資化性が他のメタン生成菌よりも優占した。堆積物コアスラリーに水素・CO2及び酢酸を添加した培養ではほとんどメタンが生成されなかったのに対し、メチル化合物を添加したいくつかの試料からは理論収率の半分以上のメタンが検出された。元コア試料中のメチル化合物資化性メタン生成菌配列のほとんどは、培養後に検出されたクローンと一致したのに対し、元試料で検出された多くの水素資化性メタン生成菌は培養後に検出されなかった。原位置より高温及び常気圧条件下において、基質無添加のコア培養物からメタン生成が認められた。培養後のアーキアクローンはメチル化合物資化性メタン生成菌が優占した。これらの結果は、堆積物中の有機物を構成するタイプIIIケロジェン分解におけるメチル化合物資化性メタン生成経路の重要性、ならびに、メタン生成が表層よりもより深部で起こりうる可能性を示唆する。 本研究はメタンハイドレート資源開発研究コンソーシアの研究活動の一環として執り行われた。
keywords:methane hydrate,methanogenesis,subseafloor sediments,16S rRNA gene,Illumina sequencing