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O21-05 : 比較ゲノム解析によるPseudomonas stutzeri NT-Iのセレン代謝関連遺伝子群の推定
Posted On 20 10月 2014
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1阪大・院 工
【背景・目的】好気性セレン酸還元細菌Pseudomonas stutzeri NT-Iは、水溶性のセレン酸・亜セレン酸を、不溶性の元素態セレンを経て揮発性のメチル化物にまで還元する高いセレン代謝能力を有している。本菌株はセレン汚染水環境や排水の生物学的浄化技術への適用も期待されることから、そのセレン代謝機構は極めて興味深い。本研究は、特にNT-I株の亜セレン酸還元及びセレン揮発化機構の解明を目的として、近縁株との比較ゲノム解析により関連遺伝子群の推定を行った。 【結果】分譲機関より取得した4株のP. stutzeriとNT-I株のセレン代謝能力を比較した結果、亜セレン酸還元は5株全てに共通した形質であった一方で、セレン揮発化能力はNT-I株とNBRC13596株のみが保有しており、他の3株は能力を持たないことが明らかとなった。亜セレン酸還元への関与が示唆されているチオレドキシンの代謝に関わる遺伝子群を各菌株ゲノムから探索したところ、NT-I株は他の菌株よりこれらを多く保持していた。また、セレン揮発化能力を持たない3株とNT-I株について、Murasakiを用いて比較ゲノム解析を行いNT-I株に特異的な10の領域が見出した。これら領域は、硫黄代謝に関わるcystathionine gamma-lyase等の遺伝子群、セレン揮発化への関与が示唆されているSAM-dependent methyltransferase遺伝子等を含んでおり、これらがNT-I株の高いセレン代謝能力を特徴付けているものと推測された。
keywords:Pseudomonas stutzeri NT-I,selenium,comparative genomics,,