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O13-07 : Dehalococcoidesを含むコンソーシアを用いた実汚染地下水の浄化と微生物叢解析
Posted On 20 10月 2014
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1NITE・NBRC, 2長岡技科大
テトラクロロエチレン(PCE)やトリクロロエチレン(TCE)などの塩素化エチレン類により汚染された土壌・地下水の原位置浄化技術として、嫌気性細菌の脱塩素反応を利用したバイオレメディエーションが利用されている。嫌気的な塩素化エチレン類の浄化においては、塩素化エチレン類を完全にエチレンまで脱塩素化できるDehalococcoides属細菌(Dhc菌)を活性化させることが重要であるが、Dhc菌は増殖が遅く浄化に時間を要することが課題である。そこで、栗田工業株式会社では、実汚染現場においてDhc菌を含む培養液を用いたバイオオーグメンテーション(BA)を実施し、その有効性を検討している。本報告では、栗田工業株式会社より提供を受けた浄化現場のサンプルについて、MiSeqを用いた微生物叢解析を実施したので、その結果について報告する。
オーグメンテーション井戸(AIW)では、培養液の導入後にDhc菌が土中で維持され、半年後に塩素化エチレン類の濃度が基準値以下となったことが確認された。一方、栄養剤のみを投入したスティミュレーション井戸(SIW)では、Dhc菌の増殖は遅く、塩素化エチレン類は基準値以下にならなかった。また、微生物叢解析の結果、AIWとSIWでは一時的にBacteroidetes門やFirmicutes門の細菌が占める割合が増加したが、漸次的に施工前やモニタリング井戸の微生物叢に近づいていく傾向が確認された。この結果から、少なくとも本現場においては、BA法は非常に有効であり、且つ、微生物生態系への影響は一時的であることが示された。
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