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O13-08 : ヒ酸還元細菌とメディエーターを用いたヒ素汚染土壌のバイオレメディエーション手法の検討
Posted On 20 10月 2014
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1千葉大院・園芸, 2国立環境研究所
現在ヒ素汚染土壌は封じ込めや掘削除去により処理されているが、土壌自体からヒ素を除去する事はできず根本的な解決には至らない。無機ヒ素はヒ酸還元細菌によって吸着性の低い亜ヒ酸に還元され、液相に溶出する性質を持つ。これまでに酸化還元メディエーターによってヒ素可溶化反応が促進される事が明らかになっており、これを用いて土壌中のヒ素を可溶化・除去する技術の確立が期待されている。本研究では土壌細菌群及びメディエーターの種類によるヒ素可溶化能の違いを調べると共に、実用化を見据えてヒ素可溶化に関わる主要な細菌を明らかにする事を目的とした。250 mg-As/kgの汚染土壌2 g、リボフラビン又はAQDSを含む乳酸無機塩培地に微生物植種源として国内の非汚染土壌3種類をそれぞれ加え、嫌気条件下で培養を行った。その結果全ての植種源で、メディエーターにより液相へのヒ素の溶出が促進され、固相中のヒ素が土壌汚染対策法の含有量基準(150 mg-As/kg)以下まで減少した。さらに、培養前と培養8日目の土壌サンプルを用いて16S rRNA遺伝子及び異化的ヒ酸還元酵素遺伝子(arrA)を標的とした細菌叢の解析を行った。その結果、16S rRNA遺伝子の解析では、全サンプルで細菌叢が顕著に変化し培養8日目にFirmicutesが優占した。また、一部のサンプルにおいて、メディエーター添加及び非添加の両サンプルで同門に属するDesulfitobacterium hafniense Y51株に近縁なarrAクローンが多数検出された。以上の結果から、Firmicutesがヒ素可溶化に重要な役割を持つ可能性が示唆された。
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