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O13-06 : 共生菌を用いたDehalococcoidesの活性化によるジクロロエチレンの浄化促進効果の確認
Posted On 20 10月 2014
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1NITE・NBRC, 2大成建設
嫌気性バイオレメディエーションによるテトラクロロエチレンやトリクロロエチレン(TCE)の浄化では、シス-1,2-ジクロロエチレン(cis-DCE)が長期的に蓄積する場合がある。そこで、cis-DCE以降の脱塩素化に関わるDehalococcoides属細菌(Dhc菌)の速やかな活性化が重要であるが、環境中におけるDhc菌の存在比率は低く、また、増殖も遅いことから、浄化に時間を要することが多い。我々のグループでは、Dhc菌の脱塩素活性を促進するUCH001株とUCH003株の分離に成功しており、これら共生菌の汚染地下水への導入による土着Dhc菌の増殖促進効果と浄化期間の短縮可能性について検討した。
実汚染地下水に栄養とTCEを添加した培養系を作製し、cis-DCEの蓄積を確認した後、107~108 cells/ml程度になるようにUCH001株とUCH003株を添加した。コントロールにはフィルター濾過した培養液を用いた。経時的に培養液を採取して、GC/MS分析によるTCEおよびcis-DCE等の塩素化エチレン濃度の測定と、特異的なプライマーを用いてのDhc菌数の測定を実施した。
共生菌を導入した実験区では、Dhc菌のコピー数が105 (copies/ml)まで増加し、それに伴ってcis-DCEは速やかに減少した。一方、コントロール区ではcis-DCEの脱塩素は緩やかであり、Dhc菌も103 copies/ml程度しか確認されなかった。この結果から、UCH001株とUCH003株は土着のDhc菌の増殖とcis-DCEの脱塩素化を促進させる効果があることが示された。
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