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O13-04 : 酸素存在下において亜酸化窒素(N2O)発生を抑制する脱窒細菌の単離と特性解析
Posted On 20 10月 2014
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1東北学院大・工学総合研, 2東北学院大・工
亜酸化窒素(N2O)は地球温暖化要因の8%を占める主要な温室効果ガスであり、オゾン層を破壊する原因でもあることから、その早急な削減対策が求められている。N2Oは環境中の微生物が担う窒素循環過程において、脱窒プロセスの代謝中間物または最終産物として発生するが、その発生量が増加する要因として、酸素による脱窒関連遺伝子の発現や脱窒関連酵素の阻害が挙げられる。特に窒素含有量の高い農業畜産系廃水処理は酸素の混入が避けられない条件で行われることが多く、相当量のN2Oが発生する可能性があるため、N2O抑制型の水処理システム構築が必要となる。本研究では、酸素存在下においてもN2Oを発生させずに脱窒を行い、さらにはN2Oを還元する能力を有する脱窒細菌の探索を行った。畜産廃水処理システムの活性汚泥から単離された新規脱窒細菌Ochrobactrum sp. TS6株および堆肥から単離されたPusillimonas sp. S-14株は、いずれも酸素存在下(3%)の脱窒条件における生育が良好であり、N2Oが唯一の電子受容体として存在する場合には、それを利用して生育した。また、50 mM以上の高い亜硝酸濃度にも耐性を示し、幅広い条件で効率的な脱窒を行うことが知られた。さらには、ラボスケールの脱窒リアクターにおいて、TS6株は添加したN2Oを除去する能力を示した。これらの生育特性は、N2O抑制を目的としたバイオオーグメンテーションに使用されてきた好気脱窒細菌Pseudomonas stutzeri TR2株よりも優れているため、今後の応用が期待される。
keywords:脱窒,バイオレメディエーション,亜酸化窒素,,