P12-01 : 高分散性コロイド状キチンを用いたキチン分解細菌の単離
Posted On 20 10月 2014
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1宇大・院・工
【目的】キチンはカニの殻や菌類の細胞壁の主要成分であることから、地球上に多く存在するバイオマスの1つとして知られている。しかし、結晶性が高いキチンは水を始め多くの溶媒に不溶であるため、濃塩酸や濃硫酸あるいは分解酵素を用いて部分的に分解する必要がある。本研究の目的は、キチンを部分分解後に再沈殿して得られるコロイド状キチンの調製法を検討し、コロイド状キチンを分解する細菌を環境試料から単離して真菌の増殖抑制することである。
【方法】キチン粉末を85%リン酸中で部分分解後に約25%のリン酸水溶液と混合し、コロイド状キチンを調製した。このコロイド状キチンを中性化し混合した寒天プレートを用いて、土壌または栃木県の下水処理場から採取した活性汚泥試料に生息する細菌を単離した。植物に対して病原性を有する真菌とキチン分解細菌を同一プレート上で生育させ、真菌の増殖抑制を試験した。
【結果と考察】コロイド状キチンの粒径はリン酸と水の混合比で制御可能であり、リン酸と水を4:6で混合したリン酸水溶液(約25%)で最も粒径が小さく直径約10 μmであった。この微小なコロイド状キチンは培養液や寒天培地中での分散性が向上した。キチンを分解しコロニー周辺に透明なハローを形成した細菌は活性汚泥試料よりも土壌試料の方が多かったが、菌種はArthrobacter属やStreptomyces属を含む放線菌やBacillus属、Aeromonas属などが両方の試料で共通していた。細菌によってハローのサイズやキチン分解速度が異なると同時に、真菌に対する増殖抑制効果も異なった。
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