P25-21 : リン酸肥沃度の高い圃場におけるアーバスキュラー菌根菌:ネギへの接種効果と土着AM菌の分離
Posted On 20 10月 2014
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1東北大・院農, 2, 3, ,
本研究は,リン酸肥沃度の高い土壌で高リン酸条件に適応したアーバスキュラー菌根菌(AM菌)を探索することを目的とし,ネギを用いて試験を行った.(1)リン酸肥沃度が高い条件で管理されてきた圃場(可給態リン酸750-1200mgP2O5 kg乾土-1)において,市販接種菌Glomus sp. R-10(R10)を育苗段階で接種した区(M区)と非接種区を設け,2年間栽培試験を行った.また根に感染するAM菌の種類をrRNA遺伝子で解析した.(2)隣接した圃場からAM菌を分離し,胞子形態およびrRNA遺伝子から同定を行った.(3)このAM菌のネギに対する効果をR10と比較するためにリン酸施肥2水準でポット試験を行った.その結果,(1)可給態リン酸が同等な場合,M区と非接種区で生育・収量に差は認められなかった.リン酸肥沃度が高いにもかかわらず土着AM菌の感染が認められ,生育が進むと感染率に処理の差は認められなかった.非接種区の根からGigaspora margarita, Claroideoglomus etunicatum等の配列が検出された.(2)分離したAM菌はC.etunicatumと同定した.(3)この菌はR10と同等の接種効果を示し,高リン酸施肥(1000mgP2O5 kg乾土-1)条件においてR10より感染性が良かった.これらの結果から,リン酸肥沃度の高い圃場においてもネギに対する土着AM菌の感染が確認され,高リン酸条件に適応したAM菌の存在が示唆された.分離・同定したAM菌C.etunicatumはリン酸肥沃度が高い条件でも高い感染性を持っていることが示された.
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