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O13-03 : 河川底質の微生物からみる染料汚染からの回復
Posted On 20 10月 2014
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1群馬大院・理工
本研究では、実際の河川底質中の微生物による染料分解能力と芳香族アミン分解能力から、染色工場排水汚染の状況および回復過程を調査した。染色工場排水に汚染されている河川の底質は、底質中の微生物による染料分解能力が高い傾向にあった。汚染が小さくなると河川底質の染料分解能力も低下した。また、河川底質の微生物による芳香族アミン分解能力も汚染の程度に対応する傾向がみられたが、染料分解能力が低下するときに芳香族アミン分解能力は上昇した。そして時間の経過により芳香族アミン分解能力も低下した。このような底質の微生物活性の変化は次世代シーケンサーによる微生物群集構造解析結果と一致した。すなわち、染料分解能力が高いときは、アゾ染料分解微生物がたくさん得られ、芳香族アミン分解能力が高いときは、芳香族アミンであるアニリンの分解微生物がたくさん得られた。このように河川底質中の微生物による染料分解能力および芳香族アミン分解能力を経時的に調査することで、底質中に残留する染料汚染の程度を評価し、回復への変遷過程を推察することができた。また、次世代シーケンサーによる微生物群集解析は、汚染に関わる適切な微生物マーカーの選定に有効であり、底質が汚染から回復していく変遷過程のモニタリングにも有用であることを示した。河川底質中の汚染物質由来の化学物質は膨大であるが、微生物の機能と群集を評価することにより汚染状況および回復の様子をモニタリングできることが示された。
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