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O11-11 : 水田土壌における転炉スラグおよびバイオ炭・シアノバクテリアの施用が温室効果ガスに与える影響
Posted On 20 10月 2014
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1千葉大・院・園芸, 2Bangladesh Agri. Univ., 3千葉農総研セ, 4名大・院・生命農, 5山形大・院・農
[目的]持続可能な農業の推進と共に、バイオ炭や転炉スラグといった有機質・リサイクル資材の効果について注目が集まっている。一方で、減肥による経費削減、環境負荷低減を目指し、アゾラやシアノバクテリアなどによる生物的窒素固定の影響を明らかにする試みも進められている。しかしながら、これらが、水田においてメタン生成や関連微生物にどのような影響を与えているかは不透明である。そこで、本研究では、これらの資材や窒素固定生物がメタン生成古細菌を含む微生物群に与える影響について、温室効果ガス生成に関わる観点から検討した。
[方法]千葉県山武市周辺の3か所の水田(沖積土・グライ土・黒泥土)より土壌を採取し、転炉スラグ、メタン発酵残渣より焼成したバイオ炭、アゾラおよびNostoc sp.を施用した水稲栽培ポット試験を行った。栽培期間を通してガスフラックス、土壌の理化学性・生物性の分析を行った。また、転炉スラグ、バイオ炭を用いて室内湛水培養試験を行い、ガス生成量を測定すると共に土壌理化学性・生物性の分析を行った。
[結果]ポット試験では、メタンフラックスはバイオ炭施用により増加したが、転炉スラグとの併用により低下する傾向が見られた。この効果は土壌種ごとで異なり、グライ土で最も影響が大きかった。また、これらとアゾラ、Nostoc sp.の併用区で最もメタンフラックスの値は低かった。メタン生成古細菌のmcrA遺伝子コピー数を解析した結果、泥炭土>沖積土>グライ土となり、メタンフラックスと対応した形となった。同様の結果は培養試験においても見られ、バイオ炭単用区と比較し、転炉スラグとの併用でメタン生成量は低下した。
keywords:温室効果ガス,シアノバクテリア,水田土壌,土壌改良資材,メタン生成古細菌