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O11-10 : 水田土壌に生息する好中性微好気性鉄酸化細菌の分離
Posted On 20 10月 2014
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1名大・院・生命農, 2名大・農, 3愛知農総試
水田土壌における生物的鉄酸化反応は、分子状酸素による非生物的反応の優位性からこれまでほとんど考慮されてこなかった。本研究では、微好気条件下で水田土壌表面に形成した酸化鉄沈着細菌コロニーより鉄酸化細菌を分離し、生物的鉄酸化反応の理解に向けた知見を得ることを目的とした。安城農業技術センターより落水期に採取した水田土壌を湛水条件下で前培養し、土壌を還元状態に移行させた。前培養した土壌を試験管に移し、わずかに酸素透過性を示す二重合成ゴム栓で密閉した後、気相を窒素ガスで置換して、25°C、暗所で静置培養した。微好気条件下において土壌表面に形成した酸化鉄沈着細菌コロニーを接種源として、試験管の底に沈めた硫化鉄により酸素と二価鉄の対称濃度勾配を形成させた軟寒天無機塩培地(pH6.3)に接種した。勾配の境界層にて鉄酸化物とともに生育した菌を限界希釈法により純化を繰り返し、An22株を得た。An22株は、運動性を持つ湾曲した桿状の細菌であり、ある種の鉄酸化細菌に特有のstalkおよびsheath状鉄酸化物の形成は観察されなかった。16S rRNA遺伝子は、好中性微好気性鉄酸化細菌として知られる‘Sideroxydans lithotrophicus’ ES-1株(95.0%)、Gallionella ferruginea stock Johan株(94.8%)、Ferriphaselus amnicola 6680T株(94.0%)に最も近縁であったが、相同性の低さから新規分類群に属する可能性が示唆された。本菌株は、水田土壌より初めて分離された好中性微好気性鉄酸化細菌である。
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