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O11-09 : 太陽熱土壌消毒処理がハウス土壌の繊毛虫群集に及ぼす影響
Posted On 20 10月 2014
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1名大・院・生命農, 2宮崎総農試, 3名大・農, 4中央農総研セ
太陽熱土壌消毒は、臭化メチルに代わる土壌消毒技術として作物の病害防除に利用されているが、病原菌以外の土壌微生物に対する影響については十分な知見がない。繊毛虫は、捕食を通じて細菌群集や物質循環に重要な影響を与えているとともに、土壌環境を反映する生物指標としても認識されている。本研究では、太陽熱土壌消毒に対する土壌繊毛虫群集の応答を解析した。 宮崎県総合農業試験場のトマト栽培ハウス圃場において、2013年夏季に「宮崎型太陽熱消毒」による土壌消毒を行った。消毒前、消毒期間中、消毒直後、消毒後のトマト栽培期間中に土壌を採取した。18S rRNA遺伝子を対象としたPCR-DGGE法により土壌繊毛虫群集を解析した。対照として、熱消毒を行わない処理区の土壌についても解析を行った。 消毒直後の土壌から得られたDNAでは、非消毒土壌に比べてPCR増幅の程度が低く、太陽熱消毒によって繊毛虫の数が低下していることが示唆された。一方、消毒後2カ月半を経たトマト栽培土壌では、非消毒土壌と同程度のPCR増幅が認められた。繊毛虫群集のDGGEパターンは土壌消毒にともなって大きく変化するとともに、反復間の差が大きくなった。熱消毒によって消失するバンドや逆に熱消毒によって優占度が上がるバンドが観察された。消毒後のトマト栽培土壌のDGGEパターンは消毒前と高い類似性を示し、熱消毒によって消失したバンドの多くが再び確認された。以上のことから、土壌繊毛虫群集は太陽熱消毒に対する高い感受性と復元力を有していることが明らかとなり、太陽熱土壌消毒の微生物群集への影響と回復の程度を計る生物指標となりうることが示された。
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