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O11-12 : アルギン酸ビーズを利用したフィチン分解菌の局所的集積培養
Posted On 20 10月 2014
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1東北大・院・農
【概要】植物残渣のモデル物質としてフィチン(IHP)含有アルギン酸ビーズを利用し、選択的にIHP分解菌を増殖させて目的とするIHP分離菌の分離に成功した。【背景】種子などの植物残渣に含まれるIHPは土壌中の重要なP(リン)源である。植物に共生するアーバスキュラー菌根(AM)菌はこれを直接吸収することはできないが、IHP分解で生じた無機態PをAM菌に供給するIHP分解菌の存在が予想される。しかし、植物残渣にはIHP以外のPが含まれるため、そこから分離した細菌が実際にIHPを分解したかの判断はこれまで困難であった。【方法・結果】AM菌(Rhizophagus irregularis)が感染したミヤコグサ(9週齢)を低P培土が入ったポットに移植し、菌糸区画に微生物接種源となる畑土壌とアルギン酸ビーズ、もしくは植物残渣を添加した。アルギン酸ビーズにはあらかじめCa-IHPもしくはFe-IHPを添加し、対照としてP源無添加区を設けた。移植後6週間栽培した結果、ミヤコグサはAM菌を介して各IHP由来のPを吸収していた。それぞれのアルギン酸ビーズから分離したIHP分解菌は、抽出したDNAの群集構造解析(DGGE法、16S rRNA)やβ–propellar phytase (BPP)遺伝子のクローンライブラリー解析の結果と良い一致を示した。植物残渣のDGGEパターンはアルギン酸ビーズよりも複雑であったが、BPP遺伝子の一部はアルギン酸ビーズや分離株と一致した。よって、IHP含有アルギン酸ビーズに植物残渣周辺で増殖するIHP分解菌の一部が集積し、その分離が可能となったと考えられる。
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