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微生物腐食: 嫌気環境下で金属腐食を引き起こす新規硝酸塩還元菌Prolixibacter denitrificans
Posted On 06 10月 2015
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飯野隆夫(理研BRC-JCM)
金属材料は現代の我々の生活に必要不可欠な材料である。しかし、金属腐食により重大な性能低下や機能劣化が起き、防食や修繕のために莫大な経済的損失を招いている。金属腐食は一般的に化学的要因によるものと考えられがちで、この場合の金属腐食の発生や速度は電気化学の理論から予測できる。しかし、嫌気環境のような腐食しないはずの環境で腐食が生じたり、予測よりも著しい速度で腐食が進行することから、微生物の作用による金属腐食が疑われている。これは微生物腐食と呼ばれ、硫酸塩還元菌が主な原因菌とされてきたが、現実には、腐食発生機構の解明はおろか原因菌の正確な特定さえできず、効果的な防食技術がない現状である。有効な防食技術を開発・向上させる上で、金属腐食微生物の正確な種の特定が必要不可欠である。我々は、過去に注目されることのなかったBacteroidales目に属する嫌気性細菌が硝酸還元を介して金属腐食を引き起こすことを明らかとしたので、紹介する。