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バイオフィルムに見られる規則性 — イオンの動態に関して —
Posted On 06 10月 2015
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森崎久雄(立命館大学大学院生命科学研究科)
バイオフィルムの含水率は通常90%以上に達する。これらの水は、親水性の細胞外ポリマーが織りなす細孔に富んだ構造中に存在する。このような水を我々の研究グループは「バイオフィルム間隙水」と呼び、その諸性質を調べてきた。その結果、バイオフィルム間隙水には外部に比べ、数百倍以上の高濃度で栄養塩が濃縮されていることが明らかになってきた。なぜ、このような高濃度で栄養塩が濃縮されているのか、そのメカニズムを解明する過程で、我々の研究グループはバイオフィルム内外のイオンの行き来を支配する明瞭な規則性を見いだした。ここでは、その規則性を紹介し、バイオフィルム研究の今後について議論を深めたい。