Previous Story
P22-21 : 土壌試料の乾燥処理が微生物群集の資化活性に与える影響-熱測定法による評価
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1三重大・院・生物資源, 2東大・院・農学生命
土壌試料の乾燥処理が土壌微生物の炭素源資化活性に与える影響を、微生物の炭素源資化に伴う発熱を指標として評価した。試料として、三重県内で採取した森林3地点、河川敷3地点、畑、竹林、水田、海岸砂丘の計10種類の土壌を用いた。土壌を採取後、2 mmのふるいで植物体などを取り除いたものを土壌試料とした。乾燥処理した土壌として、水分含量を採取時の半分以下になるまで、室内(20~30℃)で約2か月間乾燥させた土壌を用いた。各土壌試料について、土壌を10 gずつバイアルに充填し、水分量を調整して約10日間、25℃で前培養した。次いで、糖やアミノ酸など18種類の炭素源(炭素原子0.6 mmol相当量)をそれぞれ単独で加え、25℃、好気条件下で、各炭素源資化に伴う発熱速度の経時変化を測定し、発熱曲線を得た。乾燥させた土壌では、グルコースやキシロースなどの糖類を与えた場合、発熱曲線のピークが大きくなったり、または発熱曲線ピークが早い時間に見られるようになった。一方、アラニンやアルギニンなどアミノ酸類では、発熱曲線のピークが遅い時間になる傾向が観察された。乾燥処理により発熱曲線に顕著に変化があった試料は、森林や竹林、水田など土壌中の水分含量が30%以上の土壌であり、また土壌中の炭素量・窒素量が多い土壌であった。一方、発熱曲線に顕著な変化がなかった試料は河川敷や海岸砂丘など水分含量が4%程度の砂土壌であった。土壌試料の乾燥による微生物性の変化は炭素源の資化活性にも影響することが示され、土壌の理化学性に依存する可能性が示唆された。今後、熱測定法から得られた資化過程の変化についての詳細な解明が望まれる。
keywords:微生物熱測定,土壌試料の乾燥処理,土壌微生物活性,,