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P22-23 : 土壌微生物の基質誘導呼吸を利用した黒ボク土中の可給性リン画分の定量の試み
Posted On 20 10月 2014
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1岩手大・院・農, 2岩手大・農, 3, ,
黒ボク土は、リンを強く吸着・固定するため、施肥管理が行われていない黒ボク土では、可給態リンが非常に少ない。このような黒ボク土で生育する植物は、黒ボク土中の何らかのリン画分を利用していると考えられる。このリン画分は、従来の可給態リン測定法では検出できないため、演者らは、土壌微生物バイオマス測定法である基質誘導呼吸法を応用することで、植物・微生物により潜在的に利用可能なリン画分の量的評価を試みている。本研究では、管理の異なる地点の黒ボク土を供試土壌として、炭素源・窒素源を過剰に添加しリン律速の状態においた黒ボク土の基質誘導呼吸の特徴を評価し、黒ボク土中の潜在的に利用可能なリン画分の定量の可能性を検討した。
【材料および方法】自然草地、アカマツ林および施肥されている農地より黒ボク土を採取し、供試土壌とした。基質誘導呼吸の分析では、C源としてグルコース、N源として塩化アンモニウムの過剰量を土壌に添加し、暗所25℃で培養した。培養期間中のCO2発生量はGCにより分析した。なお、黒ボク土に添加するPの内部標準として、フィチン酸またはリン酸水素二カリウムを使用した。
【結果】可給態リンが痕跡の黒ボク土をCN過剰P律速の状態におき、これにフィチン酸または無機態リンを添加すると、P添加量の増加に伴い、CO2発生速度は増加した。このことは、CN過剰P律速の黒ボク土では、添加されたリン化合物の量や微生物による利用性の違いが黒ボク土のCO2発生速度に影響を及ぼしている事を示しており、基質誘導により増加したCO2発生速度は、潜在的に利用可能なリン画分の定量に利用できる可能性があると考えられた。
keywords:基質誘導呼吸,可給態リン,有機態リン,黒ボク土,微生物バイオマス