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P22-31 : 植物共存真菌類の多様性解析におけるLocked Nucleic Acid (LNA)技術を用いた選択的PCR増幅法
Posted On 20 10月 2014
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1鹿児島大・院・農, 2鹿児島大・農, 3, ,
真菌類の一部は、植物の共存者として植物の生育に密接に関わっており、それらを農業利用するには、植物共存真菌類の多様性を把握する事が不可欠である。しかし、分子生物学的手法により、真菌類のバーコード領域であるITS領域をPCR増幅して真菌類の多様性解析を行った場合、抽出時に混入した植物DNAが過剰に増幅される重大な問題が存在する。そのため、真菌類に特異的なプライマーが開発されているが、ごく一部の分類群しか標的にできない、或いは植物DNAの増幅を完全に抑制できないという問題が未だ存在している。本研究では、LNAプライマーとLNAクランプ技術を適用する事で、植物共存真菌類DNAの選択的なPCR増幅を試みた。
【方法】真菌類と植物の配列をプライマーとともにアライメントし、真菌類に特異的な塩基をLNAに置換してフォワード側にLNAプライマーを、植物に特異的な塩基をLNAに置換してリバース側にリバースプライマーと競合するLNAオリゴヌクレオチドを設計した。5日間栽培した小麦及び大豆の根から抽出したDNAを鋳型としてPCR増幅を行い、DGGE法で多様性解析を行った。
【結果・考察】LNAプライマー単独で、植物DNAの増幅を完全に抑える事は出来なかったが、LNAプライマーとともにLNAオリゴヌクレオチドを3.0µM以上添加する事により、植物DNAの増幅を抑制する事ができた。また、DGGE法により真菌類の多様性解析を行った結果、LNAを使用しない従来法では認める事ができなかったDGGEバンドが新たに複数検出され、本研究で開発した増幅法は植物に共存する真菌類の多様性解析に有効な手法である事が示された。
keywords:植物共存真菌類,多様性解析,LNA技術,Locked Nucleic Acid,バーコード領域