P22-33 : N2O発生スポットであるジャガイモ地上部残渣からの糸状菌の分離
Posted On 20 10月 2014
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1農環研・生物生態機能, 2農環研・物質循環, 3東京学芸大・教育, ,
【背景・目的】亜酸化窒素(N2O)は強力な温室効果ガスかつオゾン層破壊物質で、その主要な発生源である農耕地におけるN2O発生メカニズムの解明は重要な課題である。筆者らは、圃場における作物の栽培期間を通したN2O連続モニタリングにより、地表に作物残渣がある比較的好気的な状態でN2Oが発生し、糸状菌脱窒の可能性があることを見出した。そこで、ジャガイモ栽培において、作物残渣がある時期のN2O発生部位を明らかにするとともにそこからN2Oを発生する糸状菌を分離することを目的とした。【方法】茨城県つくば市の農業環境技術研究所ライシメーター圃場(黒ボク土)において、2013年春と秋の二作ジャガイモを栽培した。慣行に従い、収穫前に地上部を刈取り2週間程度放置した後、収穫した。栽培期間中圃場からのN2O発生を連続モニタリングするとともに、地上部刈取り前と地上部刈取り1週間後に、土壌および地上部あるいは地上部残渣を採取した。採取サンプルのN2O発生ポテンシャルを測定するとともに、サンプルから糸状菌を分離した。これらの分離糸状菌について、亜硝酸を基質とした液体培養系でN2O発生活性を測定した。【結果・考察】地上部切除後に、圃場からN2Oの発生ピークが見られた。採取サンプルのインキュベーション試験の結果、土壌ではなく地上部に放置されているジャガイモ地上部残渣自体からN2O発生が見られた。圃場からのN2O発生の高かった春作の地上部刈取り後の残渣サンプルにおいて、培養によるN2O発生活性の高い糸状菌の分離頻度が高かった。現在分離菌のITS領域塩基配列の解析により、分類群の推定を行っている。
keywords:農耕地土壌,亜酸化窒素,糸状菌脱窒,,