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P14-12 : 部分循環湖堆積物に由来する新規硫酸還元細菌Pf12B株の特徴付け
Posted On 20 10月 2014
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1北大・低温科学研
Deltaproteobacteria綱Desulfovibrio目には、現在までに4科14属の細菌が分類され、その多くは硫酸還元細菌である。この目の細菌は多様な自然環境中に生息し、嫌気環境における硫黄や炭素の循環に大きく寄与していることが示唆されている。本研究の目的は、Desulfovibrio目に属する新規硫酸還元細菌Pf12B株の系統的・生理生化学的特徴付けを行うことである。Pf12B株は、部分循環湖の堆積物を接種源とする硫酸還元条件下の集積培養系から得られた。菌株の純化作業はアガーシェイク法を用いて行った。Pf12B株の16S rRNA遺伝子配列の解析では、Desulfomicrobium baculatumと91%の配列相同性を有することが示された。系統樹上では、Pf12B株はDesulfovibrio目のDesulfomicrobium科とDesulfohalobium科の間に位置した。DsrAアミノ酸配列に基づく系統解析では、系統樹上でPf12B株が既知の分類群から独立した位置にあることが示された。Pf12B株の細胞は幅1-1.5、長さ2-3 µmほどのビブリオ状で、単独または複数つながって存在していた。細胞は運動性を有しており、グラム染色性は陰性であった。硫酸塩の存在下で、ギ酸、フマル酸を炭素源及びエネルギー源として利用した。ギ酸を用いた培養にはイーストエキスや酢酸を加えることで増殖が促進されたが、酢酸のみを添加した培養では増殖しなかった。以上の結果よりPf12B株はDesulfovibrio目における新たな科を代表する細菌であることが示唆された。
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