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P22-1 : インドネシアの高塩分水田土壌における脱窒機能遺伝子および脱窒細菌の多様性
Posted On 20 10月 2014
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1東大・院・農学生命, 2Indonesian Center Agri. Biotechnol. Genetic Resources Research. Dev., Microbial Division, 3Indonesian Instit. Sci., Research Centre for Biology
水田土壌は、細菌による脱窒が起こりやすい環境の一つである。世界第三位の米の生産量を誇る稲作国家インドネシアには、高塩分農度の海浜地域水田が比較的多くみられるが、そのような水田土壌における脱窒微生物や関連機能遺伝子に関する情報は不足している。そこで本研究では、まず、インドネシアの高塩分および低塩分の水田土壌に存在する脱窒機能遺伝子(nirK、nirS、nosZ)について、クローンライブラリーを作製し、得られた塩基配列に基づいて系統解析を行なった。その結果、これらの機能遺伝子の系統樹には、高塩分農度の海浜地域水田に由来するクローンが集中するクラスターが認められた。このことは、高塩分濃度の水田土壌には低塩分濃度の水田土壌とは異なる系統の脱窒機能遺伝子をもつ細菌が存在することを示唆しており、これらの機能遺伝子がコードするNirK、NirS、NosZといった脱窒関連酵素の活性が塩分濃度の影響を受ける可能性を暗示するものである。続いて、インドネシアの水田土壌より脱窒細菌の分離を行なったところ、これまで脱窒能を持つ個体群が知られていない属に分類される脱窒細菌が得られた。また、高塩分濃度の水田土壌から分離された脱窒細菌は、低塩分濃度の水田土壌から分離された脱窒細菌より高い耐塩性を示した。現在、高塩分濃度の水田土壌に由来する脱窒細菌の脱窒活性に塩分濃度が及ぼす影響を試験しているところである。
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