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P22-19 : ヘアリーベッチ鋤き込みが土壌糸状菌の動態に与える影響
Posted On 20 10月 2014
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1山梨大・生命環境, 2山梨総農技セ
リン酸やカリなどの養分が蓄積した土壌環境において、環境負荷を伴わずに効率良く有機物を供給する方法の1つに緑肥があげられる。緑肥の鋤き込みは、耕耘と未分解有機物の供給による土壌攪乱と言えるが、その結果として土壌中の微生物(特に糸状菌)に大きな変動が生じる。しかしながら、土壌糸状菌相の変化は土壌の種類や畑の使用履歴によって大きく異なる場合が多いため、より多くの情報を集める必要がある。そこで本報ではヘアリーベッチを緑肥として使用した際の土壌糸状菌の動態を調査したので報告する。試験は、山梨県総合農業技術センター内のライシメーター( 5 × 5 m)に化学肥料施用区、有機質肥料(緑肥無)区、有機質肥料(緑肥)区を設けて実施した。2013年11月5日にヘアリーベッチの播種を行い、2014年4月22日に土壌へ鋤き込んだ。土壌サンプリングは緑肥鋤き込み前、直後、鋤き込み後2, 8, 15, 23, 30, 65日目に実施した。化学肥料区ではサンプリング期間中に糸状菌数に変化は見られなかった。また緑肥無区においても気温の上昇にともないわずかに糸状菌数が増殖したものの大きな変化はなかった。それに対して緑肥区では3.0 × 105 cfu/g (鋤き込み前)から1.2 × 106 cfu/g (15日目)まで増殖した。緑肥区にのみ出現するコロニーが確認され、シークエンスの結果からCladosporium属菌であることが確認された。また、PCR-DGGE法を用いて糸状菌相を比較したところ、緑肥区では糸状菌の多様性が増すことが確認された。
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