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P22-17 : 殺菌剤施用が土壌中のアーバスキュラー菌根菌群集に及ぼす影響
Posted On 20 10月 2014
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1北農研セ・生産環境
【目的】アーバスキュラー菌根菌(AM菌)宿主作物の後作では、AM菌感染率の向上によるリン酸吸収の促進がみられ、我々はこの効果を利用したリン酸減肥体系の構築を進めている。一方、生産現場では宿主作物の後作であってもAM菌の効果が現れない例がみられ、その一因として農薬施用などの農業活動が影響している可能性がある。そこで本研究では、殺菌剤の施用が後作ダイズのAM菌感染率と土壌中のAM菌量およびその群集構造に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】3種の殺菌剤(トップジン、チルト、フロンサイド)をそれぞれ標準量および3倍量混和した土壌と無処理土壌をワグネルポットに充填して4週間置いた後、ダイズを6週間栽培した。栽培後、ダイズ根のAM菌感染率を測定するとともに、土壌からDNAを抽出してAM菌18S rDNA特異的プライマーを用いた定量PCR,PCR-DGGE, 454 GSJrによるアンプリコンシークエンシングを行い、各処理がAM菌群集に及ぼす影響を調べた。
【結果】ダイズの地上部乾重および根のAM菌感染率には、各処理による有意な影響はみられず、定量PCRに基づく土壌中のAM菌量にも有意差はなかった。一方、DGGE解析では特にフロンサイド3倍施用区で他と明らかに異なるパターンが観察された。この傾向は、アンプリコンシークエンシングによっても裏付けられ、DGGEでは検出できなかったAM菌群集構成の微細な違いも明らかになった。以上から、殺菌剤の施用が後作ダイズのAM菌感染率に及ぼす影響は小さいものの、少なくとも一部の殺菌剤は土壌中のAM菌群集構造を変化させ得ることが示された。
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