P16-28 : 大気から単離された赤色色素産生細菌の生存に及ぼす紫外線照射と酸化ストレスの影響
Posted On 20 10月 2014
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1富山大・院・理工学教育・生物圏環境科学・生物圏機能Ⅲ
【目的】大気環境中の細菌は、紫外線、活性酸素種、乾燥などの環境ストレスに晒されている。また、大気から単離された細菌は細胞内に色素を有するものが多く、それらの色素は紫外線や乾燥などが原因となって生じる活性酸素種から細胞を保護していると考えられる。本研究では、大気から単離された赤色色素産生細菌について、紫外線と活性酸素種の一種である過酸化水素に対する耐性を評価することを目的とした。 【方法】 2011年4~12月の間に富山大学理学部屋上の大気から単離された赤色色素産生細菌3株を用いた。また、対照菌として、E. coli W3110株とD. radiodurans R1株を用いた。菌種の同定は、16S rRNA遺伝子のほぼ全長の塩基配列を決定して行った。紫外線と過酸化水素に対する耐性は、菌懸濁液を紫外線(UV-B,UV-C)照射あるいは過酸化水素処理した後に、TGY寒天培地を用いて培養し、評価した。 【結果】 16S rRNA遺伝子解析の結果、1株はDeinococcus属、2株はHymenobacter属で、いずれも既知細菌種の16S rRNA遺伝子塩基配列と97%未満の相同性を示し、新種の可能性が考えられた。また、紫外線と過酸化水素に対する耐性を調べた結果、単離菌3株はUV-Bに対する耐性が高かった。UV-B照射によるD10値は、いずれも6,000~7,000 J/m2の範囲にあり、紫外線や過酸化水素に対して非常に高い耐性を有するR1株と同程度であった。さらに、UV-Cに対しても比較的高い耐性を示したが、過酸化水素に対する耐性は比較的低い菌株も認められた。
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