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P16-23 : 海綿Hymeniacidon sinapiumの共生微生物による2,4,6-トリヨードフェノールの還元的脱ヨード化
Posted On 20 10月 2014
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1千葉大・院・園芸
ヨウ素は水溶性天然ガス鉱床から産出するかん水から生産される。近年その汲み上げにより地盤沈下が深刻化し、かん水の採水量が規制されている。一方、ヨウ素の需要は増加傾向にあるため、ヨウ素のリサイクルが注目されている。ヨウ素の主要な用途であるX線造影剤はトリヨードベンゼン骨格を有する。本研究は造影剤廃液からのヨウ素の回収に利用可能な還元的脱ハロゲン化微生物の集積を目的とした。有機ハロゲン化合物を高度に蓄積する海綿H. sinapium (ダイダイイソカイメン)を接種源とし、造影剤のモデル化合物として2,4,6-トリヨードフェノール(2,4,6-TIP)を唯一の電子受容体とする培地で集積培養した。その結果、電子供与体に海綿懸濁液を用いた場合に、2,4,6-TIPを4-ヨードフェノールに脱ヨード化する集積系を確立した。本集積系をPCR-DGGEによる微生物群集構造解析に供したところ、Clostridiales目に属する2種類の細菌Oceanirhabdus sediminicolaとVallitalea guaymasensisが優占していた。これまでにこれら2菌種による還元的脱ハロゲン化の報告はない。そこで、本集積系で脱ヨード化を行う細菌を特定・単離するため、一方の細菌のみが利用可能な電子供与体を探索した。その結果、グルコースと酵母エキスをそれぞれ添加した場合にV. guaymasensisのみが優占し、かつ脱ヨード化活性も保持していた。従って、2,4,6-TIPの脱ヨード化にはV. guaymasensisが関与している可能性が示唆された。
keywords:2,4,6-triiodophenol,reductive dehalogenation,iodine,enrichment,